この上期から、当社ではガバナンスの強化として、稟議をはじめとしたいくつかの取り組みを進めてきました。
始めてから半年ほどが経ち、社内でも少しずつ「これは何のためにやっているのか」という感覚が共有され始めているように思います。
今日は改めて、なぜ今ガバナンスなのか、そして、いまひとつピンときていない人に向けて、そもそもガバナンスとは何なのか、少しでも分かるように整理してみたいと思います。
ガバナンス=チェックアンドバランス
「ガバナンス」という言葉は、どうしても堅く、分かりにくく感じられがちです。
私自身は、「チェックアンドバランス」と言い換えた方が、実態に近いと思っています。
躍動的な会社であり続けながら、誰かが行き過ぎないようにチェックを入れ、全体としてバランスを取る仕組みです。
みなさんからすると、「なんだか怖い」「自由がなくなるのでは」と感じるかもしれません。
ただ、実はガバナンスという考え方は、そもそも社長や事業責任者といった決裁権とスピードを持つ立場をどうチェックするかという発想から生まれています。
そういう意味では、憲法とよく似ています。
憲法は、国民を縛るためのものではなく、政府を縛るために存在しています。
会社も同じで、躍動的に成長し続けるためにこそ、行き過ぎて失敗しないための仕組みが必要になります。
それが、ガバナンスの本質だと思っています。
そう考えると、少し構えすぎなくてもいい話だと感じてもらえるかもしれません。
バランス=自律性
当社は、実は「バランス」を取ることが得意な会社だと思っています。
たとえば、ブランドとコンサルティングという、性質のまったく異なる二つの事業が同居している点です。
一般的に見れば、決して分かりやすい組み合わせではない、と言われることも少なくありません。
それでもここまで両立できてきたのは、各事業部が高い自律性を持ち、それぞれが主役として動いてきたからだと思っています。
それぞれが自分たちの判断で進みながら、結果としてバランスが保たれてきた。そんな状態でした。
役員間の関係についても同じです。
よくありがちな、社長が強い中心となって全体を引っ張る、という形は、当社の在り方とは少し違います。
役割を分け、それぞれの意志や判断を尊重しながら、バランスを重視して、これまで運営してきました。
私自身は、バランスを「秩序」と同義の言葉だとは考えていません。
秩序というのは、それをつくる強い中心が存在する状態だと思っています。
それに対してバランスは、秩序と無秩序のちょうど中間にあり、複数の存在が拮抗しながら、微調整を続けていく状態です。
私はもともと、バラバラな存在が、絶妙なバランスを取りながら進んでいく、そうした世界観が好きです。
新たに加わる第三極=チェック
これからは、そのバラバラさの上に、もう一つの要素を加えようとしています。
それが、チェックです。
チェックを加えることで、成長の方向に張力がかかった状態を保ったまま、緩みや、やり過ぎを防ぐ。
より高度なバランスを目指していきたいと考えています。
その役割を担うのが、管理部です。
当社の規模では、まだガバナンス専門の組織を置く段階ではありません。
そのため現時点では、管理部が中心となって、ガバナンスの仕組みづくりと運用を進めていくことになります。
この下半期は、これまで半年間の運用を踏まえながら、ガバナンスについての研修や説明会を、管理部から順次実施していく予定です。
ガバナンスは、一度決めて終わりではなく、運用しながら整えていくものだと思っています。
その点も含めて、ぜひ協力をお願いできればと思います。
バランスを前に進める力=アカウンタビリティ
事業部にとって今後ますます重要になるのが、このバランス状態を前に進めていく力です。
それが、「アカウンタビリティ(説明責任)」だと思っています。
何をやりたいのか。
なぜそれが必要なのか。
どんな価値を生むのか。
それを、自分の言葉で説明すること。
それができて、周囲の理解が得られるなら、事業は必要以上に制約を受けることはありません。
そのためには、その判断が、事業部が描く未来や、いま掲げている方針とどうつながっているのか。
それを常に考え、言葉にしていく力が求められます。
当社が目指すガバナンスとは、バラバラであることを前提に事業を育ててきた会社が、そこにチェックという新たな極を加え、成長へのテンションがかかったより高度なバランス状態をつくっていくことです。
創業以来選び続けてきたやり方を、組織の仕組みとして、さらにアップデートしていく。
これからのために必要なことだと思っています。
ぜひ、それぞれの立場で意識を持って取り組んでもらえたらと思います。
宮﨑
「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。


アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。