最近、私の席の隣にフリーミーティングスペースができました。
プロジェクターも付いていて、社内ミーティングにはとても便利です。
そこで早速いくつかのチームが活用してくれているのですが、まあまあ声が聞こえてきます。
「ちょっと騒がしいな〜」と思いつつ、ふと昔のオフィスが頭に浮かびました。
昔のオフィスは本当に“うるさかった”んですよね。
電話が鳴り響き、各島では議論が飛び交い、先輩が後輩に熱心に指導していて、いつも音がしていました。
いつの間にこんなに静かなオフィスが当たり前になったのだろう、と思ったりします。
オフィスは、ワイガヤであるべきなのか。
それとも、サイレントであるべきなのか。
この問いについて少しだけ考えてみました。
最近、コンサルファームやシリコンバレーではオフィス回帰が強まっています。
理由を調べると、その中心にあるのは「育成」だそうです。
では、オフィスがワイガヤになることで「なにが育つ」のか。
まず、情報の蓄積が倍増します。
ここ数週間、私自身が漏れ聞こえた指導や議論から、
情報のまとめ方、論点の揃え方、コミュニケーションの工夫など、
「あ、そんな方法があるのか」という気づきをいくつも得ました。
自分が教わらなくても、横で起きている学びを“ついでに吸収する”状態になっているのだと思います。
次に、判断力が上がります。
先輩と後輩の指導を聞いていると、案件の細部までは分からなくても、
どこを見るべきか、何を優先すべきか、どう論点を立てていくべきか、
その判断の仕方が自然と掴めてくるものです。
ラジオでなんとなく聞いていた曲が、気づくと口ずさめるようになっている感覚に近いかもしれません。
それから、先回り力がつきます。
人には進め方の癖や優先順位のつけ方があります。
会議後の一言や、作業のスピード、段取りの変化などを日常的に見聞きしていると、
「ああ、この状況ではこう動いた方がいいんだな」と、自然に先回りできるようになります。
さらに、仕事の感度も上がります。
炎上の匂いや、危なそうな空気感というのは、
言葉ではなく、声のトーンや表情、周りのざわつきから察知するものです。
静かなオフィスではこの“温度変化”に触れる機会が激減しますが、
ワイガヤの中では、自然とそのセンスが磨かれていきます。
ここまでは、漏れ聞こえてくるワイガヤの効用についてです。
そしてもう一つ大事なことがあります。
議論というのは、対面で行われると熱が生まれます。
多少意見がぶつかることがあっても、その熱がアイデアにつながることが多い。
シリコンバレーでも、コンサルファームでも、オフィス回帰の理由として“創造性”が挙げられていますが、
やはり何かを生み出すには、熱のこもったコミュニケーションが不可欠なんだと思います。
結論として、私たちが育成型組織を掲げるのであれば、
オフィスはワイガヤである方がきっと良いのだろうな、と改めて感じています。
ぜひ、私の隣のフリーミーティングスペースもどんどん活用してください。
私もいろいろな会話を“漏れ聞いて”、勝手に学ばせてもらいますので。
ただし、怒号だけは聞きたくないので、それはやめてくださいね♩
宮﨑
「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。


アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。