筆者は内田 聡(うちだ さとし)と申します。
本ブログでは、未経験からコンサルティング業界に飛び込み、その過程で感じたことや学んだことを率直に記しています。コンサルタントという仕事に関心のある方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
私が大学を卒業して最初に入社したのは、営業と人材派遣を手がける会社でした。右も左も分からないまま飛び込んだ世界で、最初は毎日が挑戦の連続。新規の顧客開拓に電話をかけて断られる悔しさ、商談でうまく伝えられずに落ち込む日もあれば、提案が受け入れられて成果につながる喜びもありました。気づけば、ただ必死に食らいつく毎日から、少しずつ「どう工夫すればより成果を出せるか」と考える余裕が生まれていました。
そんな日々を通じて学んだのは、「相手の立場に立って考えること」の大切さでした。顧客も、サポートをする派遣社員も、一人ひとり抱える背景や課題が違います。同じ対応では通じないことも多く、相手の状況に応じてアプローチを変えることで、初めて信頼を得られる。これは、現場で体感した大きな学びでした。
一方で、時間が経つにつれて心の中には言葉にしづらい不安も芽生えていきました。目の前の数字を追い、社内での役割も徐々に明確になり、一定の評価も得られるようになってはいました。けれどふと立ち止まったときに、「この会社を一歩出たとき、自分は何ができるのだろう」「今の仕事は自分の強みを活かせているのだろうか」「汎用的に使えるスキルは本当に身についているのだろうか」と、自分自身に問いかける瞬間が増えていきました。
問いに明確な答えを持てないことが、次第に大きな不安へと変わっていきます。業務は効率化されてルーティンワークの要素が強くなり、成長が鈍化している感覚もありました。その感覚が重なり、「このままではいけない」と思うようになり、転職活動を始める決心につながりました。
最初に転職先としてコンサルティング業界を選んだのは大きな理由はありませんでした。複数の友人に転職について相談した際の「コンサルとか向いていると思う」という言葉を受けて「そうなのかな?」と思いつつもコンサルティング業界について調べはじめました。
調べていく中で、コンサルティング業界においては、単一の業務に閉じず、幅広い業界やテーマに関わり、課題の本質を見極め、解決策を提示する。そのプロセスを通じて、どこでも通用する思考力やスキルが身につくと感じたのです。そこで私は、コンサルティング業界への転職を決意し、未経験からコンサルタントとしてのキャリアをスタートしました。
コンサルティング業界に転職してからは、最初は未知の世界でわからないことの連続でした。営業や派遣管理といった前職の経験はあっても、市場調査や新規事業の検証、業務改善支援といった領域に関してはまったくの初心者でしたし、初めて触れる業界、テーマであり会議に参加しても、専門用語が飛び交い、何を話しているのかが理解できないといった状況でした。議事録を作成しながら会議後に社内資料や外部資料を読み込んでやっと理解していくという日々でした。
当時はわからないことの連続でしたが、一つ一つ理解していくたびに自身の中での知識の蓄積やスキルの深化を感じることができました。
現在は入社から約3年が経ち、振り返れば多くのプロジェクトに携わることができました。業務改善支援や市場調査、時には海外市場における可能性を探ったり、新規事業の採算性や流通戦略を検討する支援に加わったりと、関わるテーマや対象は実に幅広いものでした。
もちろん、ひとつひとつのプロジェクトでは、壁にぶつかることの方が多かったように思います。それでも、先輩やチームに支えられながら試行錯誤を重ねる中で、少しずつ自分の視野が広がり、できることが増えていきました。振り返れば、この3年間は「コンサルタントとしての土台を築くための濃密な時間」だったと感じています。なぜ自分がここまで成長できたのか。その背景には、スキルの習得以上に大切にしてきた姿勢や考え方があると思います。
コンサルタントとしてまず実感したことは、コンサルタントの仕事は、想像以上に地道だということです。
最初はコンサルタントの仕事は「課題の本質を見極め、解決策を提示する」ということだと漠然と考えていました。実際には、日々の大半を調査や資料作成に費やされます。膨大な情報を集め、その中から何が必要なのかクライアントにとって重要な情報は何かを取捨選択し、必要とあれば膨大なデータを分析して、そこから言える示唆は何かを考え、正しく伝えるためのアウトプットへと昇華させる必要があります。この過程は一見すると地味ですが、最終的な提案の質を左右する重要な工程です。実際の提案やクライアントとの会議は1時間だとしても、その背後には数日、数週間もの準備があります。
上記の工程一つ一つをとっても簡単ではなく、壁にぶつかる日々でした。調査においては、どういう情報が重要であり、どうすればその情報にたどり着けるのかという点に常に頭を悩ませました。考えなしに手当たり次第進めれば膨大な情報に振り回されてしまい、「なぜこの調査をしているのか」という本質を見失って時間を浪費してしまう。そんな失敗を繰り返す日々でした。
幸いだったのは、当時の上長が常に寄り添い、マンツーマンで指導してくれたことでした。実際の調査の場面で最初に一緒に手を動かしながら「こういう仮説を立てて進めるといい」や「こういうアプローチを行うといい」など具体的なプロセスを見せてもらえました。途中で迷いそうになっていると「今回の調査の目的は何か」と丁寧に粘り強く付き合ってもらい、試行錯誤を重ねるたびに視野が広がっていきました。
そうした粘り強く丁寧な指導に支えられて、ただの「失敗からの学び」に終わらず、「仮説を立てて効率的に進める」という思考の型を自分の中に根付かせることができました。限られた時間で成果を出すために、最初に仮説を立て、情報を効率的に集め、それを体系的に整理する。その大切さを実感し、繰り返し実践していく中で、少しずつスピードと精度を高められるようになっていったのです。
資料作りでも、単に情報を並べるだけでは十分ではありません。情報を正しく理解し、相手に伝わるように整える必要があります。色やレイアウト、フォントの細部まで意識し、視覚的にも理解しやすくする工夫が求められました。入社したばかりの頃は、上長から「この資料は美しくない」と指摘を受けることもありましたが、修正を重ねるうちに、資料の見え方や伝わり方が大きく変わることを実感しました。こうして「正しく伝える」ことの大切さを、身をもって学びました。
前職では「自分に汎用的なスキルが身についていないのでは」という漠然とした不安を抱えていました。しかしこの経験を通じて、論理を整理し、根拠をもとに分かりやすく伝える力を磨くことができ、当時の不安は大きく解消されました。今では、社外に出ても通用するスキルを着実に積み重ねられているという確信を持ち、仕事に取り組むことができています。
こうしたスキルを積み重ねる中で、3年間を通して改めて感じているのは、コンサルタントとして成果を出すには、スキル以上にマインドが大事だということです。まず大切なのは「やりきる」こと。スケジュールが厳しくても、課題が複雑でも、最後まで責任を持ってやり抜くという姿勢が課題にぶつかった際、壁を乗り越えるための力となり、自身の成長を後押しさせると考えています。
次に大きな学びになったのは、仕事に向き合う姿勢でした。資料や分析を進めるとき、ただ作業をこなすだけでは不十分で、「自分がつくるものはクライアントにとっての成果そのもの」という意識を持つことが大切だと気づかされました。最初の頃は、完成した資料を提出しても「ここはどういう意図でこの表現を選んだのか。今回の目的ではこちらの表現の方が適切」と細部の修正を指摘されることが多くありました。ですが、見え方や言葉の一つひとつに意味があることを繰り返し学ぶうちに、「どうすれば相手に正しく伝わるか」を考え抜く習慣が身についていきました。
また、単に与えられたタスクをこなすだけではなく、時にはプロジェクト全体の流れを意識して「こう進めた方が良いのでは」と上長やクライアントに提案する場面も増えました。もちろん勇気がいることもありましたが、そうした一歩を積み重ねることで、任される範囲が少しずつ広がり、信頼を得られる実感もありました。振り返ると、スキルの習得と同じくらい、こうした姿勢や意識が自分の成長に直結していたと思います。必ずしも完璧なスキルを持っていなくても、「最後までやり抜こう」「自分の仕事に責任を持とう」という気持ちがあれば、チームやクライアントに価値を届けられるのだと実感しています。
今回は、コンサルタントとしての日々で学んだことや培った考え方についてご紹介しました。私自身、最初はコンサルティング未経験で入社し、ゼロから知識と経験を積み上げてきました。年次や経歴に関わらず、意欲次第で大きな裁量と成長の機会を得られるのが弊社の魅力です。
もちろん、調査設計、情報収集、分析、資料作成、顧客折衝など、学ぶべきことは多岐にわたりますし、終わりはないでしょう。しかし、その土台にあるのは「やりきる姿勢」「プロフェッショナルとしての意識」であり、それによって得られた思考方法などのスキルはどこに行っても通用する武器になります。
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アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト
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