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【初心者必見】BtoBのデジタルマーケティング(基本編)

BtoBのデジタルマーケティングにおけるあり方

 近年、IT技術の向上により、さまざまな情報取得が可能となった。その結果、顧客分析やアクセスログ(広告やWebの行動履歴)分析など、多角的な軸で分析を行い、打ち手を検討し、アクションを起こすPDCAサイクルの構築が容易になりつつある。しかしながら、意外に私の知るところでは、多くのBtoB向け企業は、このスキームを構築できていない。「システムに莫大な費用がかかるのでは?」、「データを取得したところで、うまく活用できないのでは?」といった懸念があるのではないか。そんな中、ベンダーから大きな絵を提案され、販売実績データや顧客データ、そしてアクセスログを繋げましょうと提案されてないだろうか。

 もちろん理想を言えば、ベンダーが提案する全体像を実装し、デジタルマーケティングに取り組むことは重要だろう。ただし、まずは基本的なマーケティングの考え方に沿って、データを取得/分析し、改善へと繋げていくことは十分に可能である。今回は、まずできる範囲で(スモールスタートで)BtoBのデジタルマーケティングに取り組むための、ステップをご紹介したい。

 

デジタルマーケティングを取り組む上で

 商流を理解する

 まずは、自社の商流を整理しよう。バリューチェーンに沿って、自社の商流を整理して、業界や市場においてどの機能で価値を提供しているのか、何が自社の強み/弱みなのかを理解する。これによって、営業や広告関連の訴求点を明らかにすることができる。また、マーケティング戦略を検討しようとすると、広告関連の数値などから検討しがちだが、事前にこの整理ができると事業戦略の方針に沿って、マーケティング活動を行うことができるようになる

 例えば、以下の図のように整理してみると、市場の概観を把握し、自社の立ち位置について理解することができるだろう。作業する上で、気をつけるポイントは、かなり細かい粒度で作成しようとすると、プレイヤーの括りが難しくなることだ。そのため、思い切ってプレイヤーの固まりを決めて、作成するのが良い。

 顧客を理解する

 次に顧客を理解する必要がある。私の経験では、意外にこの分析が弱い企業が多い印象である。特にBtoBでは、どう顧客をセグメンテーションすれば良いのか分からず、困っている企業もいるだろう。また、そもそも分析する上で必要な情報が無いこともあるだろう。

 まず、顧客をセグメンテーションする上で、必要な情報となるものを提示したい。もちろん業界の特性によって変わってくるため、ベースとして考えながら自社に合わせて必要な項目は追加してもらいたい。例えば、添付のように自社のデータ(ExcelでもOK)がどのように保有されているのか、確認しよう。共通のIDによってデータを管理している場合には、比較的に容易に情報を取得できるが、難しい場合には顧客名で名寄せを行って、統合するでも可能である。また、赤字の項目は関数で別途既存データから算出することも可能であり、一般的な顧客情報や販売実績、商談情報があれば、分析にたるだろう。

 そして、データを整理してから分析に入るわけだが、幾つか分析軸がある。今回はセグメンテーションを考えているため、顧客の業界や用途、累計購入金額などを用いるのが良いだろう。もちろん、顧客をどのような軸で分類すべきは、市場の特性によって変わるが、基本的には業種、規模、使用用途、数量、単価、金額などの軸で分析する。また、BtoBにおいては顧客の顧客(エンドユーザー)に対する視点を持つと良い。自社の製品/サービスをどのように活用して、何をエンドユーザーに提供しているのかという軸でセグメンテーションするのでも良い。その場合には、販売実績データなどに用途(最終顧客向け)のカラムを設けると良いだろう。

 競合を理解する

  次に競合を理解しよう。競合と自社を比較して、「何を訴求していくべきか?」「何を保管すべきか?」「そもそも競合か?」などを検討していく必要がある。また、競合については、定量的な数値を取ることが難しい。そのため、上記のステップで整理したものに対して、競合はバリューチェーン上、どの範囲をカバーしているのか?どの業界に強いのか?新規ユーザー重視なのか?リピーター重視なのか?といった点を営業部やマーケティング部などとディスカッションし、定義付けしていくことが重要である。

 とはいっても、商談情報で商談がバッティングしている・失注した原因に競合の方が、金額が○○円安く、案件獲得に繋がらなかったといった記載があるなど、取れる部分はあるため、そのような情報を参考にして検討する必要はある。

 

デジタルマーケティングにおける考え方

 デジタルマーケティングと聞くと、難しいように聞こえる。そして、なかなか取れない情報についてITを駆使し、取得して分析するようなイメージがあると思うが、そんなことはない。まずは、基本に立ち返り、自社の商流を理解し、顧客を理解し、競合を理解することが重要であり、その分析で得た傾向からマーケティングへと落とし込んでいくことが非常に重要であると感じている。

 マーケティング活動を行っていく中で、ぜひ5W1Hをもとに考えてもらいたい。今回のプロモーションや施策は、「いつどこで、誰に対して・何の目的で・何を・どのように」実施するのか。それを整理しようとすると、上記の理解がないと定めることが難しいのである。

 

Who:誰に      →顧客を理解し、今回どこをターゲットにするのか定める

When:いつ       →顧客の購買タイミングを把握している必要がある

Where:どこで     →顧客情報や購買店などから、上記ターゲットの拠点を明らかにする

What:何を        →どんな目的でその製品/サービスを購入しているのか明らかにし、訴求点を定める

Why:なぜ      →新規購入を促すのか?更新需要の喚起を図るのか?競合のユーザーを獲得するのか?

How:どのように   →問い合わせ経路から、どのような手法でのアプローチが効果的かを検討する

 

 多くの企業が、デジタルマーケティング・マーケティングと聞くと、Google AnalyticsにおけるPV数やCVに目がいきがちで、製品広報・企業広報を行うにあたって、上記の5W1Hが明確にならないまま、時間に追われ作業を行っているのが、現状だと思われる。しかし、それはそもそも事業観点での整理がままならない状態で、マーケティング活動を行っているからであり、上記ステップを踏めばそのような問題は起こりづらい。また、デジタルマーケティングといって情報取得だけに焦点をあてると、その情報を取得し、どのようなアウトプット(=示唆)を出すのかが不明確になり、結果的にたくさん情報は取得したものの、活用できていないということになってしまうわけだ。

 ぜひデジタルマーケティングの部署を管轄されている方は、そもそも自社のビジネスにおいて、上記の点を理解した上で、さらなる情報取得・アウトプットを検討しているのか、自問自答してから次のステップにいくことをおすすめする。この基本的なステップを行うだけでも実は難しく、かつ効果が出やすいものであるため、整理してみてはいかがだろうか。

鈴木裕哉

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/シニアマネージャー
新卒で広告代理店に入社。Webコンサルタントを経て、2015年当社に入社し、C&S事業部の立ち上げに参画。多岐に渡る業種、分野のプロジェクトを経験し、戦略から実行まで支援をしてきた。クライアントの期待値を超えることを前提とした、コンサルティングを常に心掛けている。


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