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社内外の広報活動およびデジタルマーケティングの活用事例

新型コロナウイルス影響下での広報活動

PR TIMESのアンケート結果によると(2020331日~42 BtoB企業のみ)、新型コロナウイルスによって、広報は以下のような活動が直近挙げられるようになった。1つ目は、現状の中でどう広報活動をしていくのか。2つ目は、今後広報を行うにあたってどのように活動していくのかである。

1つ目は、危機管理を社内外に伝えていくために、社内説明資料の作成や万が一コロナが社内で発生した場合の対応マニュアルの作成などが挙げられている。一方、外向け(集客)ではウェビナーが盛んになり、今ではセミナーの主流になりつつある。その他には、コロナの報道によって当初露出をする予定だった企業が、内容差し替えになったり、控えるために内容を差し替える必要が生じたりと、非常に緊急性の高い作業ばかりだった。

2つ目の未来に向けてというところだが、ここでもコロナを鑑みた業務フローの改善やコロナ発生に備えた公文書準備などが多かった。しかし、オンライン施策について、ウェビナーに加えてさらなる施策検討が求められるケースもあり、withコロナでどのように広報活動を行っていくのかを考える企業もあった。確かにウェビナーを行う企業は多いものの、さらに大きく考えていくと、今後その他を含めてどのように広報を行っていくのかを考える必要があると思われる。本記事では、幾つかの事例を踏まえながら今後の広報活動にて、コロナを踏まえたオンライン施策として、広報活動そのものの施策として、有効になりうるものを述べていく。

 

コミュニケーション活動における重要なポイント

コミュニケーションを行うにあたって、まずは基本的な考え方を振り返る必要がある。色々なフレームワークがGoogleで検索すれば出てくるが、筆者としてはシンプルかつ、明確であるため以下のフレーム(5W1H)で十分と思っている。自身でコンサルティングを行うときもこのフレームワークで説明しているが、多くの企業はもはやそれすら考えられていないケースが多く、まずはこれに当てはめて考えるだけでも有効だろう。

  • When : 発信タイミング
    • いつのタイミングで発信するのか
    • ターゲットに応じて変える(通勤時、会社の休憩時)
  • Where : 発信場所、発信シーン
    • HPのどこに記載するのか
    • どのようなシーンにおいて発信するのか(購入前の後押しなど)
  • Who : ターゲット
    • 誰に向けた広報活動なのか
      • 新規/既存顧客
      • パートナー、投資家、社員など
  • What : 発信内容
    • ターゲットに合わせて発信内容を変えているか
      • CSR、導入事例、ビジョンの提示、研究内容の発表
  • Why : 発信目的
    • 目的に応じて、掲載場所や導線は考えられているか
      • 資料請求や問い合わせはフォームへの導線
      • ブランド向上であれば、広報誌の問い合わせへの導線など
  • How : 発信手段、方法
    • どの発信手段、方法であれば、効率的かつ効果的に発信することができるのか
      • インタビュー形式、ウェビナーなど

上記に合わせて、各社の広報活動を見ていくと違いが分かり、自身の広報活動にも役立てることができる。後ほど紹介するが、例えば富士通は、同じ内容であってもターゲットや目的に応じて、掲載場所や導線を変えている。富士通は、社内報においても社員の役職や部門に応じて、コンテンツを変えるシステム提供していることもあり、コンテンツの最適化を図っていると思われる。それでは、このような観点から幾つか事例をみていきたいと思う。

 

社内外の広報活動およびデジタルマーケティングの活用事例

商社(SNS, HP, 広報誌など)

近年、商社では社内外向けにプロジェクトやグループの取り組みを広報誌として創刊したり、NewsPicksのプラットフォームを活用した社内報など、社内外含めてブランディングを行っている。例えば、SNSの取り組みで比較すると、各社の注力度が見て取れる。例えばフォロワーやいいねが多い商社は、伊藤忠商事(いいね: 11,173人、フォロー: 11,669人)が挙げられるが、一方三菱商事のいいねは、298人・フォローは332人と非常に少ない。

   

伊藤忠商事は、20201月に企業価値向上に資するCorporate Brand施策を推進する組織を立ち上げ、「星の商人」という社内報を一新したりと、広報活動を積極的に行っている。ステークホルダーだけでなく、幅広い読者をターゲットとしており、図解を用いたり、動画やイメージを用いることで、一般向けユーザーへの理解も促していると考えられる。

 次に、丸紅においては社内向けが非常に充実している。社内向けの広報活動において広報誌「M-SPIRIT」、丸紅グループコミュニケーションサイト「MS+」、社内版NewsPicks、社内向け広報誌「μ’s magazine」「CAREER DESIGN PRESS」などが挙げられ、非常に種類が多い。ただし、これらのメディアごとに内容を変えており、目的に応じた形で発信をしていると推測される。

富士通(コンテンツマーケティング)

富士通では、同じ記事であってもターゲットに応じて、見せ方や媒体を変えている。例えば、新規顧客や一般向けには、FUJITSU JOURNALにて視覚情報で訴えかけ、文字は少なめだ。一方、同じ記事であってもコーポレートサイトでは、研究開発のメンバーからインタビュー形式で掲載し、詳細な情報を掲載している。それは、案件を獲得することを目的としていると考えられる。

また、富士通では社内向けコンテンツにおいて、人事データベースと連携し、それぞれに合わせたコンテンツを提供している。これらから見るように、ターゲット(Who)に応じてコンテンツ(What)や媒体(How)を検討し、使い分けている。

マクロミル(KPIの設計方法)

社内報においても、KPIを設計することは非常に重要であり、なぜその媒体をどのような目的で、結果どうしたいのかを明確にして、広報活動を考えることが必要である。今回はマクロミルを紹介したいと思う。マクロミルの社内広報では、Web//動画と3種類が挙げられており、その3つごとに目的とKPIが設計されている。社内広報のKPIというと、アンケートによる社内満足度を採用することが多いが、WebのようにPVや資料のダウンロード数などをKPIにすることも考えられるだろう。

オムロン(広報組織)

オムロンでは、主なKPIとして、「情報の発信数」や「ユニークユーザー数」といった一般的な指標に加えて、「キャリア応募の数」、「企業からのオープンイノベーションの問い合わせ数」などがある。また、目的やターゲット、行う作業に応じて組織体制を考えることも、広報活動を検討していく上で一つ重要な要素になるだろう。

 

【参考】

各社Facebookページ(2020年5月25日時点)
朝日新聞(2020)「社長と2m、自宅でもスーツ…コロナで様変わりの入社式」
SELECK(2017)「「社内版」NewsPicksをどう使う? 丸紅が目指す、世界4万人の社員への情報共有の形」
朝日新聞(2020)「社長と2m、自宅でもスーツ…コロナで様変わりの入社式」
CONCENT(2019)「丸紅 従業員組合広報誌『μ’s magazine』『CAREER DESIGN PRESS』制作」
PR TIMES MAGAZINE(2020)「リモートワークが拡大するいま、広報活動への影響は?広報PR担当者への臨時アンケート結果」
MarkeZine(2020)「富士通が実践するBtoB事業成長に効くコンテンツマーケティング イントラサイト刷新で営業機動力を強化」
富士通HP、FUJITSU JOURNAL
社内報ナビ(2019)「3つのインターナルメディアで、組織の実行力を高める(株式会社マクロミル)」
オムロン(2016)「オムロンの企業ブランディングの方程式とは?社内外の広報をシームレスに改革」
Web担当者Forum(2017)「BtoB企業のブランドをWebサイトで正しく伝えるにはどんな戦略が必要か/オムロンの挑戦を内田孝裕さんに聞いた」

鈴木裕哉

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/シニアマネージャー
新卒で広告代理店に入社。Webコンサルタントを経て、2015年当社に入社し、C&S事業部の立ち上げに参画。多岐に渡る業種、分野のプロジェクトを経験し、戦略から実行まで支援をしてきた。クライアントの期待値を超えることを前提とした、コンサルティングを常に心掛けている。


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