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2020.09.02

デジタルマーケティングを実践するにあたって、気をつけなくてはいけないこと

各企業におけるデジタルマーケティングの重要性の高まり

近年、インターネットやテクノロジーの進化を背景に、さまざまなモノがインターネットへつながり、膨大かつ多岐に渡るデータを収集することができるようになった。特にモバイルにおけるデータは顕著に伸びており、ユーザーの地理的な移動データまで細かく収集できるほどだ。また広告業界では、インターネット媒体費やインターネット広告制作費が拡大傾向にあり、1.9兆円を超える市場となっている。

これらを背景にして、データは事業に大きく影響を及ぼす一つの要素になりつつある。例えば、中小企業においては、新規顧客獲得のために、Web広告を用いたプロモーション戦略・施策を行うことが当たり前になっている。それは、リスティング広告・SNSFacebookTwitterInstagramなど)広告・専門メディア掲載などが挙げられる。加えて、これらの施策では、広告配信データやアクセスログ(サイト上の行動データ)を用いて、効果測定を行い、費用対効果を算出することができる。したがって、経営指標に直接的に関与し、かつ影響を及ぼすものである。さらに、ECWeb上でのサービスを運営している事業であれば、より密接であることが考えられるであろう。

このように、テクノロジーなどの進化により、経営指標とインターネット上のデータが直接リンクするようになったことから、従来の経営指標に加えて、それらに関連したデータ(広告配信データ・アクセスログなど)を統合的に把握する必要が生じ、経営とマーケティングの距離が近づき、デジタルマーケティングの重要性が高まっているといえる。

 

マーケティング部の機能、役割の見直し

TV、新聞や雑誌などのメディアから効果測定可能なWeb広告へと、比重が変わっていく中で、マーケティング部への機能や役割が変わってきている。効果測定が可能になったことにより、費用対効果の分析ができ、打ち手を検討し、さらにその打ち手の結果を把握する必要が生じた。その結果からみても、データ分析・施策立案・効果測定などのケイパビリティがマーケティング部門には求められるようになった。さらに、前述のように経営指標に大きく影響を及ぼすことから、ビジネスそのものに対する理解も求められるようになってきている。

具体的には、従来のスコープであったWebマーケティングやイベント運営などのプロモーション関連のみならず、事業全体に対するデータ構築やデータによるアウトプットの活用などといった戦略的な作業を求められるようになっている。したがって、マーケティング部門は広告やWebマーケティングの最適化から、事業や商品の最適化を機能として担う必要があると考えられる。

後述するが、Webマーケティングとデジタルマーケティングは近しいものの、別のものとして捉える方が良いだろう。そして、マーケティング部門が求められる機能・役割はWebマーケティングからデジタルマーケティングへと移り変わっていると思われる。

 

デジタルマーケティングを実践するにあたって、気をつけなくてはいけないこと

それでは上記を踏まえて、デジタルマーケティングを実践するにあたって、気をつけなければならないことを幾つか話していきたいと思う。今回は特にデジタルマーケティング会社の選び方についても話していきたいと思う。

 1.デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い

前述でも少し話したが、デジタルマーケティングとWebマーケティングにおける違いについて、整理したいと思う。始まりはWebマーケティングだと筆者は考えている。Web広告代理店が現在では数え切れないほど存在し、Web広告業界というものは急激に成長した市場と思われる。その背景としては、Googleの検索エンジンにおけるSEO対策から始まったと考えることができるだろう。被リンクを活用し、Googleの検索順位において1位に表示させる。それにより多くの見込み客に対して、自社のHPに訪れてもらい、CVへと誘導することが可能になった。しかし、その方法はすぐにGoogleにより通用しなくなり、多くの広告代理店がリスティング広告やアクセス解析といった別サービスを展開するようになる。このあたりから、Webマーケティングと呼ばれる集客(流入数・アクセス数の増加)からHPの回遊率・CV率の向上といった施策立案→効果測定(データ分析)→原因分析→施策立案といったPDCAを回す流れができるようになった。

しかし、注意点はあくまでWebマーケティングはLPの最適化・CV率の向上といったようにWebの世界に留まっていることが挙げられる。筆者も広告代理店出身者であることやプロジェクトの経験上から言えることは、多くの広告代理店にマーケティングのナレッジは無い。例えば多くの代理店は、サイトリニューアルにおいて、現状サイトの課題をアクセスログや自社ナレッジから課題を抽出し、リニューアルを行うケースが見られるが、本来はそもそも現在のCVユーザーがターゲットユーザーなのか、市場の中で有望なユーザーなのかといった点を考える必要があると思われる。

具体的には、市場にはどのようなユーザーがいるのか、どのユーザーをターゲットとするのか、他社と比べた際に、自社の強みは優位性を持つのかといった検討を踏まえた上で、リニューアルにそれらの検討結果が反映される必要がある。このような、事業や商品そのものを考える上では、販売実績のデータや消費者調査データなど、Webから得られるデータのみならず、各データをリレーションして統合的に分析および示唆を出すことが求められる。その結果、ビジネスフロー上でのデータ取得も考える必要があり、その全体像を把握して、インフラから経営側まで実装・管理させるのがデジタルマーケティングの範囲だと考えられる。

 2.事業戦略を踏まえたマーケティング戦略および、施策の実践

すでに述べているように、デジタルマーケティングを行うにあたって、事業戦略を踏まえることは非常に重要である。しかし、多くのマーケティングに係るプロジェクトでは、事業戦略を理解することが無いまま進むのが現状である。これは、プロジェクトの発注側にも受注側にも原因が考えられる。発注側は、マーケティングに関連するプロジェクトを行うことから、マーケティング部や広報部、ブランド部などが考えられる。それらの部門では、プロモーション計画やCV、認知度などをKPIとして設定するが、この計画やKPIは事業戦略から落とし込まれるよりか、去年の数値から判断されることが多い。そのため、発注側でも事業戦略に具体的に触れる機会は少ない。一方、受注する側についても、そのような背景から事業戦略を踏まえるといったケースが無く、前述のように現状のサイト課題や、マーケティング課題を洗い出し、その改善案を提示することが大半で、そもそも事業戦略と合致しているのかを考えることは少ないだろう。

しかし、近年のデジタルマーケティングでは、販売実績のデータとアクセス解析のデータ、アプリ、メルマガの配信データといった、Webマーケティングに係るデータと事業戦略に係るデータがリンクしていることから、双方のデータを総合的に分析、把握して戦略を立てていくことが重要になってくると考えられる。

 3.プロジェクトに関わる体制について(各部門、マーケティング会社、SI、広告代理店など)

サブタイトルにも書いているが、デジタルマーケティングを行うにあたって、特に社内組織と社外組織について整理をしておく必要がある。前述したように、デジタルマーケティングは、事業を理解し、戦略を立てる「戦略」フェーズから、その戦略に応じてWebの施策やリアルの施策を考える「施策」フェーズ、効果測定を行えるようにするための、システム運用などといった「運用」フェーズに分かれている。それらを整理すると、図デジタルマーケティングにおける社内組織のようになり、マーケティング部門のみでは、本来は対応できない箇所があることが分かる。

一方、社外組織についても同じことが言える。戦略策定を得意とするコンサル会社、マーケティングといえば多くの案件を抱えているのが広告代理店である。図デジタルマーケティングにおける社外組織のように社外組織も保有しているケイパビリティは、異なっており、特に広告代理店とマーケティング会社の違いについて、留意頂きたい。マーケティング会社とはコンサルと広告代理店の範囲に対応できる会社を指し、決して広告代理店ではない。これはデジタルマーケティングとWebマーケティングの違いと同様で、Webの世界で最適化を求める広告代理店(決してこの事自体が悪いことではないことを明記しておく)においては、事業の最適化を検討することは無いためである。

このように、デジタルマーケティングを実施する上では、社内と社外を含めたプロジェクトの組織体制について、安易に考えず、整理をしていくことが必要である。

 

鈴木裕哉

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/シニアマネージャー
新卒で広告代理店に入社。Webコンサルタントを経て、2015年当社に入社し、C&S事業部の立ち上げに参画。多岐に渡る業種、分野のプロジェクトを経験し、戦略から実行まで支援をしてきた。クライアントの期待値を超えることを前提とした、コンサルティングを常に心掛けている。

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