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2020.11.04

Webサイトリニューアルにおけるデジタルマーケティング

Webサイトリニューアルにおいて、検討すべき点

 筆者は広告代理店を経て、戦略コンサルタントへと転職したため、Webサイトリニューアルにおいて双方の立場からWebサイトリニューアルに携わった経験がある。今回、その経験から感じた点について紹介する。

 従来、Webサイトリニューアルとなると、大手広告代理店やWebマーケティング会社がディレクションを行い、パートナーの制作会社へ制作を依頼するケースが大半を占めていると思われる。そのため、Webサイトリニューアルでは、作業は分業され、複数のステークホルダーを有する中で進めていかなくてはいけない。このとき、重要となるのが戦略を担う大手広告代理店やWebマーケティング会社である。場合によっては、コンサル会社が入るケースもあるが、それは稀であり、多くの場合は大手広告代理店やWebマーケティング会社が戦略領域を担当している。このときに、注意しなくてはいけない点は、PJの進め方とこの戦略領域にある。

 例えば、広告代理店やWebマーケティング会社、制作会社のHPリニューアルの進め方は、以下のようなステップが多い。

  1. 現状分析
    • Google Analytics(アクセスログ分析ツール)を用いて、数値が悪化している箇所を明らかにする
    • CVの経路や効果のあるコンテンツを把握し、ペルソナ像を明らかにする
  2. 改善案の提案
    • 数値が悪化している箇所(=課題)に対して、打ち手を提案する
    • 現状分析からWebサイトのトンマナやペルソナ像を描く
  3. Webサイトリニューアルの実施

 この進め方で注意すべき点は、上記で述べたまさに2点である。

  1. 現状分析からの改良でしかない
  2. 戦略領域が抜けている or 不十分

まず1点目についてだが、例に挙げたPJの進め方はHPサイトリニューアルにおいて、分析材料が現状のサイトのみとなっているが課題である。もちろん広告配信データなども活用するが、それはあくまで現状のサイトにおいて得た結果であり、未来のサイトについて提示されるものではない。このようなケースではHPサイトリニューアルの目的を今一度確認するのが良い。目的は何か。現状のサイトをなぜリニューアルしたいのか。目的によっては現状分析から改良点を出し、サイトをリニューアルするケースも無いとは限らないが、現状分析のみでPJを進めてもいいものかどうかを見極める必要があるだろう。

2点目について、上記の進め方であれば戦略領域が抜けているが、基本的には不十分なケースが多い。これは、筆者もコンサルティング会社に入ってから感じたことだが、広告代理店ではビジネス観点でのケイパビリティがそこまで強くない印象である。例えば、以下のような点について把握しておく必要がある。

  • 市場の把握
    • どのようなセグメント(=顧客層)がいるのか
      • 単価×数量
      • 年齢×嗜好 ・・・
    • 各プレイヤーの動向
      • 売上
      • ターゲット層
      • 近年の動き(戦略)
    • 自社の事業理解
      • 現状の事業戦略
        • 売上
        • 収益構造
        • ターゲット層
        • 現状の事業課題・・・
      • 今後の事業戦略
        • 現状の事業について、何を課題と感じ、今後何を行っていくつもりなのか
        • 何を強化していくつもりなのか
          • ターゲット層を拡大していく、業務を効率化していくなど・・・

 そしてこれらの情報を整理したのち、HPリニューアルの方向性を定め、事業とリンクしているのかを確認する。筆者が広告代理店の際に、重要視していたのはいかにいいCPACVを増やせるかであった。そのため、短期的にはいい数字が出るかもしれないが、長期的に考えた場合、実際にそれが戦略と合っていたとは限らない。本来は、事業のフェーズや戦略とリンクしたHPリニュールを検討していく必要があるだろう。

デジタルマーケティングを考慮したWebサイトリニューアル

 では、実際にデジタルマーケティングを考慮して、Webサイトリニューアルを行う場合のステップや具体的な方法について、紹介していく。まず、PJは以下のようなステップで進めることが理想的である。

  1. 事業の理解
  2. 市場の把握(STP分析)
  3. カスタマージャーニーの作成
  4. Webサイトリニューアルの実施

 実際は予算の関係もあることから、上記を全て行うことが難しいかもしれないが、理想として挙げておく。では、1つ目の事業の理解だが、ここは主にヒアリングとして事業の理解を進めていく。HPリニューアルの場合、マーケティング部門が担当となるため、全てを答えることが難しい場合には経営戦略室など、戦略を担っている部門と連携して、ヒアリングを行うことをお勧めする。

 例えば、ヒアリング項目は以下の通りである。

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<事業環境>

  • 市場セグメントの分類方法
    • 単価×数量、嗜好×年齢、嗜好×購入金額(1年間)・・・
  • セグメントごとの市場規模、成長性
    • 成長性は、規模・単価・対象となる顧客数などのトレンドを把握
    • ドライバーとなりうる背景
      • ニーズの変化、技術革新など
    • 各セグメントの特徴やニーズ

<主要プレイヤー>

  • 該当市場における主要プレイヤーの特徴や近年の取り組み
    • 品質、価格、販売戦略、顧客の特性・・・
  • 市場セグメントにおける顧客のKBF(購買決定要因)
    • 価格、品質、アフターサービス、契約条件など

<デジタルマーケティング戦略>

  • 現状、推進しているマーケティング戦略
  • 今後のマーケティング戦略の方向性
    • 新ターゲットの売上割合をXX%に高めていく

KGI/KPI

  • 定めているKGI/KPI
  • 上記の指標を管理している部門

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 次に、上記のヒアリング項目を参考にしながら、STP分析でさらに市場の深堀りをしていく。そのために、消費者調査を行うわけだが、消費者調査を行うためには、調査票の設計が必要である。この設計にはそれなりのケイパビリティが必要なため、アンケート会社や大手広告代理店が担当するが、アウトプットイメージを想定して、調査項目を検討・作成するのは難しい。例えば、消費者の購買実態を把握するためには、以下のような調査項目が必要である。

 セグメンテーションは、市場の中でどのような消費者がいるのか、どのようなグループがいるのかを明らかにする。これによって消費者の特徴を把握し、ターゲティングに活用する。そのターゲティングでは、クラスターごとに市場規模や現在のシェアについて把握し、利用意向率を聞くことで、各クラスターにおいてどの程度、販売を増やせるかを明らかにすることができる。そして、どのセグメントを攻めるかだが、重要度や満足度を聞くことで、余力のあるセグメントにおいて、自社の強み/弱みを把握することができる。これによって、何を訴求していくのか、何を克服していくのかが明らかになるだろう。

 最後に、上記を基にどのようなステップを経て、ユーザーを獲得していくのかを検討する、カスタマージャーニーを作成する。例えば、展示会に訪問してもらうのをメインとして考え、展示会予約をCVとして、HPのリニューアルする場合と、商談となる問い合わせをCVとしてサイトをリニューアルする場合では、HPに求める役割が異なる。そのため、どのようなステップでCVを獲得していくのか。その際にHPはどのような位置付けにするのか、検討する必要がある。

鈴木裕哉

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/シニアマネージャー
新卒で広告代理店に入社。Webコンサルタントを経て、2015年当社に入社し、C&S事業部の立ち上げに参画。多岐に渡る業種、分野のプロジェクトを経験し、戦略から実行まで支援をしてきた。クライアントの期待値を超えることを前提とした、コンサルティングを常に心掛けている。

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